アブダビの技術イノベーション研究所がUAE初の耐量子暗号ライブラリーを発表

 アブダビの先端技術研究評議会（ATRC）の応用研究の支柱である技術イノベーション研究所（TII）は本日、暗号研究センター（CRC）がアラブ首長国連邦（UAE）初の耐量子暗号（PQC）ソフトウエア・ライブラリーを立ち上げたと発表しました。

このライブラリーは、アブダビ首長国とUAE全体の暗号とセキュリティーの能力を強化します。暗号研究センターは、技術イノベーション研究所の当初の7つの専門研究センターの1つです。PQCライブラリーは、同センターの国際的研究者と首長国の研究者が開発したもので、幅広いコンピューター・アーキテクチャーとオペレーティング・システムに対応した汎用プログラミング言語のCで記述されています。また、それに対応したFPGAベースのハードウエア実装も開発されています。このライブラリーは、量子コンピューターによる攻撃を防ぐために設計されており、すでにいくつかの安全な通信製品に統合されています。

このライブラリーは、機密データや情報を保護するためのアルゴリズムから成っています。量子コンピューターの台頭により、従来の暗号アルゴリズム（とりわけ公開鍵と非対称アルゴリズム）はもはや、データの保存やデジタル通信でセキュリティーを確保するのには不十分です。暗号技術者は現在、高機能の量子コンピューターでも侵害できないレベルの高度なセキュリティーに対する需要に応えるために、PQCアルゴリズムの開発に取り組んでいます。

暗号研究センターは、耐量子暗号、ハードウエア・ベースの暗号、軽量暗号、暗号解析、暗号プロトコル、クラウド暗号スキームなど、複数の暗号分野の科学者を雇用して、共同研究を行っています。同センターは、理論および応用の暗号技術者を研究志向の環境に集めた、世界でも数少ないセンターです。暗号学者は、革新的成果につながる画期的研究プロジェクトで協業しています。

今回の発表について、先端技術研究評議会（ATRC）事務局長のファイサル・アル・バンナイ閣下は、次のように述べています。「アラブ首長国連邦はこれで、高度なデジタル・データ・セキュリティー能力を持つ国々の仲間入りを果たしました。われわれの研究者は、この革新的なプロジェクトを実現するために、懸命に取り組みました。高度化するデータ、システム、ネットワーク・セキュリティーの世界に対応するために、私たちは現在、このような事業に多数取り組んでいます。研究者は、優れたデータの機密性、完全性、認証、否認防止、そして個人情報保護を可能にする高度な暗号ソリューションと暗号解析ソリューションの礎石を築いています。」

暗号研究センター主席研究者のNajwa Aaraj博士は、次のように語っています。「量子コンピューティングの能力は、データ・セキュリティーにとって潜在的な脅威です。この事実は、量子コンピューターによる攻撃を防ぐためにUAE初の耐量子暗号ライブラリーを立ち上げる重要性を強く示しています。このライブラリーの最初のリリースはすでに、高度な暗号プロトコルを備えたいくつかの通信製品に統合されています。このようなライブラリーは、公開鍵暗号機能を統合した現在開発中のあらゆるセキュリティー・アプリケーションや製品の基盤となります。私たちは今後も、より多くのスキームを取り入れて、PQCライブラリーを継続的に開発していきます。」

技術イノベーション研究所は、応用研究と新時代の技術能力に焦点を当てた先駆的で世界的な研究開発センターです。この研究所には、量子、自律型ロボット、暗号、先端素材、デジタル・セキュリティー、指向性エネルギー、セキュア・システムに関する当初7つの専用研究センターがあります。世界中の卓越した人材、大学、研究機関、業界パートナーと協力することで、この研究所は知識人コミュニティーを結び付け、アブダビとUAEでR&Dエコシステムの構築に貢献しています。本研究所は、イノベーションの世界的中心地としてのアブダビとUAEの地位を強化し、知識経済のより広範な発展に貢献します。

技術イノベーション研究所（TII）の詳細情報については、www.tii.aeをご覧ください。

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